『 藍染氏の悲しき一日 』
  − Happy Birthday ? −



彼の名は藍染惣右介。

栗色のくせ毛に黒ぶち眼鏡の、某韓国人俳優を思い起こさせる容貌(アニブリでは本当に『ソウさまv』と呼ばれたらしい)。

穏やかな物腰と確かな実力を持ち、周囲から絶大な信頼を集める五番隊長である。

しかし実はそれは仮の姿。

本当の彼はとっても腹黒く、とある目的のために本性を隠して「いいひと」のフリをしている。

そんな彼の誕生日は、本日・5月29日・・・。



  ●



「(今日は僕の誕生日・・・。
部下の皆は呑気にパーティーなんて開いて、盛大に僕を祝ったりするのだろうな。雛森君なんかは、ウキウキとプレゼントなんてくれちゃったりしてね。・・・何せ彼らの尊敬する藍染隊長のお誕生日だからね!
全く愚かなものだ・・・。僕がにこやかな顔の下でどんな腹黒いことを考えているのか全く気がつかないんだから・・・。ふふ・・・まあ、そんな愚かな彼らにつきあってやるのも一興か・・・)」(←内心ウキウキ)


藍染はそう考えながら、朝、いつものように隊舎に足を踏み入れた。


「藍染隊長、おはようございます! 早速ですが・・・」
「あ、おはよう雛森君(・・・きた! プレゼントか・・・?)」
「昨日、六番隊から回ってきた書類ですが、朝イチであたしが仕上げて阿散井副隊長に渡しておきました」
「あ、ああ、そうかい、ありがとう・・・(・・・あれ?)」
「じゃ、新人の魂送の付き添いに行って参ります。隊舎に戻るのは夕刻になりますので」
「は、はあ、行ってらっしゃい・・・(・・・あれぇ・・・?)」


雛森が去ったその後も。


「あのね、三席、今日は何の日だったっけかな・・・?」
「何の日って特に・・・あ! そうですね、忘れてました!」
「そう! 何だった!?(ワクワク)」
「十二番隊に出す書類の締め切り、今日まででした! ありがとうございます藍染隊長、教えて下さって!」
「ど、どういたしまして・・・(ガクー)」


そんな調子で、誰 一 人 と し て 藍染の誕生日に言及する者はいなかった・・・。


しかしそこは純黒男。ここで簡単に凹むほどヤワではない。


「(そうさ・・・きっとみんな、忘れたフリをしているに違いない!
みんなこの日を忘れたとか 知 ら な い とか 知 っ て る け ど 無 視 という訳じゃなく、僕を驚かせようと狙っているんだな!?
うんきっとそうだ! ホラ、外国映画なんかでよくある、『サプラーイズ!』とか言って、家族や友達が誰もいない家から飛び出してパーティーを始めるというアレ!
 ・・・全く、愚かな奴らは所詮愚かなことしか考えないものだ・・・。しかしまあ、たまには付き合ってやるとするか・・・)」(←でも内心はワクワク)

そう考えながら藍染は、業務時間終了後、いつも隊員が集まるはずの詰め所談話室の襖を開いた・・・。


「やあみんな! こんな所に集まってどうしたんだい!? さては何か楽しいことでも企んで・・・」


 ガ ラ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ン


・・・・・・あれ?(汗)

「藍染隊長、どうされたんですか?」

「君は・・・確か掃除係の山田花太郎君? あの・・・うちの隊員、知らないかい?」

「はい、皆さんなら、先程揃ってスーパーに行かれましたよ? そのまま直帰するとのことです」

「・・・スーパーぁ?」

「なんでも今日は、 2 9 (にく) の 日 で特売なんだそうで」

「・・・に、肉、の日・・・!?」

「いつもの半額近くなんですよ。まとめ買いして冷凍すればお買い得ですよね・・・って、あの、どうされました?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん、僕のことは放っておいて・・・・・・・・・・・・・・・(泣)」



  ●



その夜。

うらぶれたおでんの屋台で、寂しくコップ酒を傾ける藍染と市丸がいた・・・。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(泣)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肉の日の方が隊員にとっては重要だったと」

「今日は特にとりむね肉が安かったそうだ・・・」(←2キロ598円)

とりむね肉に負けたんやねアンタ

「こんなの・・・嘘だ・・・! 信じて・・・いたのに・・・!」

「いやあの、騙してるのはボクらの方やったのと違いますの?」

「もう・・・誰も信じるもんかぁ・・・っ! 僕こそが天に立ってやるぅ・・・っ!

「・・・ハイハイ、その意気で頑張りましょ、藍染はん・・・(ダメやコレ・・・。あ〜あ、何が哀しゅうてオッサンの愚痴に付き合うて男二人で寂しく呑まなあかんの。もう寝返ってフツーに乱菊とあったかい家庭でも築いたろかなぁ・・・)(フゥ)」




こうして、いつもの通り瀞霊廷の平和な日は過ぎていくのであった・・・。



   Fin.


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