※『 きょうの猫○さん 』をもとにしたダブルパラレルです。
『 きょうの狛村さん 』
− my dog, KOMAMURA ! −
十三番隊隊長室『 雨乾堂 』にて。
「・・・ぶへっくしょい!!」
病弱な隊長・浮竹十四郎は風邪をひいて床に伏していた・・・。
「ぐしゅんっ・・・。うー、げほごほ・・・咳をしてもひとりってか。あーあー、折角の誕生日だってのに・・・」
そう、今日は12月21日。彼の誕生日である。しかし折悪くというか
遠足当日に熱を出す小学生の如く
、浮竹は今日その日になって風邪を引いたのだった。
「んー、昨日、日番谷くんの所に無理してプレゼント置きにいったのが悪かったか。ちょっと
ハッスル
(※死語)
しすぎたようだ・・・。仙太郎も清音も看病してくれるって言ったんだが、俺のためにわざわざ予約してくれた店キャンセルさせるのも悪いし、行かせて良かったな。今頃、隊のみんなで楽しんでいるだろう・・・」
浮竹は自分に納得させるように呟いていた・・・。
「・・・でも、やっぱりちょっと寂しいなぁ・・・。腹も減ったし・・・」
ぎゅるるる・・・
浮竹の腹が控えめに鳴ったその時。
「浮竹隊長はいるか?」
「ん? この声は・・・狛村? 狛村隊長か?」
障子の向こうに
やたらでかい
影が映り、七番隊長・狛村左陣の声がした。
「おう、いいぞ〜、入ってくれ」
「では、失礼しよう」
そう言って隊長室に入ってきたのは・・・
「珍しいな、お前がうちに来るなんて・・・・・・・・・って、な、
何だそのカッコ!?
」
そこに現れたのはたしかに狛村左陣。だが・・・
「どうだ、似合うだろう」
隊長羽織の上に、何故か
白いエプロン
をつけていた。(←『COMA』の刺繍入り)
「お、おま、どうしてエプロンつけてるんだ!? 新手のドッキリか!?」
「失礼な。貴公が風邪をひいたというからこうして料理を作ってきてやったのだ」
「
料理!?
お前が!?」
驚く浮竹を無視して狛村は、ごそごそと持ってきていたお盆から白い布を取った。
「こ・・・これは、梅茶漬け?」
「違う。特製『
コ マ ム ラ イ ス
』だ」
「いや、
どう見ても梅茶漬けなんだが
」
「いいから食ってみろ」
「お・・・おう・・・(はむっ)」
おそるおそる浮竹が梅茶漬け、いや、『 コマムライス 』を口に入れると・・・
「ん!? ・・・う、
うまい。
うまいぞコレ! 確かにただの梅茶漬けと呼ぶにはうますぎる!」
「そうだろう。この狛村が
全身全霊、最高の技術
を以って作る料理、それこそが『
コマムライス
』。魚沼産コシヒカリを富士の湧き水で丁寧にとぎ、昔ながらの釜戸で丁寧に炊き上げた白米。梅干は紀州産ニ十年もの。海苔は市販のものではなく北の漁村で漁師さんが自家用に作った岩海苔を特別に分けてもらい、上にかけた白胡麻はスローフード認定の幻の品種を山奥のおばあちゃんが一人で育てた元柳斎殿も唸る逸品だ。勿論ワサビは天然物をサメ皮のおろしで丁寧にすりおろした。
余談だがこの作業は嗅覚が鋭いこの身には
とても辛かった・・・
(泣)
」
「そ、そうか。苦労をかけたな・・・(汗)。いや、ホント美味しかったよ、ありがとう」
「喜んでもらえたならそれで良い。では、さらばだ・・・」
「あ・・・ちょっと、ま、待ってくれ、狛村!」
さっさと部屋を出ようとする狛村を、浮竹は必死にひきとめようとしたが、この心優しいワンコは静かに首を振った。
「・・・一人で寂しいだなどと甘ったれたことを言うな、浮竹よ・・・」
「いや、俺は、その・・・」
「貴公はもう一人ではない。ほら・・・」
ド タ ド タ ド タ ド タ ッ !
「・・・ん?(汗)」
大勢の足跡が、だんだん隊長室に近づいてきた。
「こんのワキクサアゴヒゲザル! 浮竹隊長に折り詰め持っていくのはあたしの役目だって言ってんでしょ!?」
「やかましいこの野猿女! 俺だって浮竹隊長が心配なんだよ!」
「こら清音。小椿さんに失礼なこと言っちゃダメよ? それに煩くしては浮竹隊長にも悪いわ」
「勇音の言う通りですよ。病人のいるところでは静かにして下さいね、お二人とも・・・」
「まあ、あのオッサンは病気って言っても無駄に元気だけどな・・・」
「そう言いながらちゃーんと誕生日プレゼントとお見舞い持って来るんだから、日番谷君もいいところあるよね」
「バ・・・っ、昨日貰ったまんまじゃ悪ぃなと思っただけで、俺は別に・・・!」
「はっはっはっ、雛森君に一本取られたね、日番谷君」
「そう言う惣右介君はお土産何を持ってきたんだい?」
「僕ですか? 滋養強壮に養○酒を」
「ダ〜メダメ、そんなの効かないって。やっぱりこの『清酒・美中年』だね!」
「いいですね京楽隊長! 浮竹隊長の景気づけにパーっとやりましょう、パーっと!」
「ダメですよ乱菊さん! うちの隊長におかしなこと言わないで下さい、調子に乗りますから!」
「まあまあ伊勢さん、いいじゃないッスか。浮竹隊長も楽しいことは好きみたいだし」
「恋次・・・あまり調子に乗るなよ。興奮して浮竹が血を吐いては見舞いの意味が無い」
「へいへい・・・で、朽木隊長はお見舞いに何を持ってきたんスか?」
「インターネットお取り寄せグルメランキング一位・『 悶絶激辛キムチ 』だ」
「・・・それが原因で血ィ吐くんじゃないんスか・・・?」
「・・・・・・あいつら・・・」
「分かっただろう、お前は一人ではない。ではな、さらばだ・・・」
「お、おい、待て、待ってくれ!」
浮竹の制止もきかず、狛村はみんなが来る前に風のように走り去ってしまった。
「三席小椿仙太郎、只今もどりました浮竹隊長ー!」
「ああっ!? 先に言わないでよこのサル! 浮竹隊長、やっぱりあたし達戻ってきちゃいました。お料理詰めてもらったので、皆さんで食べましょう! 折角浮竹隊長のお誕生日なんですから!」
「あ、ああ・・・ありがとう仙太郎、清音、みんな・・・」
・・・こうして浮竹隊長の誕生日に、雨乾堂では盛大な誕生パーティーが繰り広げられることとなった。
みんな楽しく呑み、食べ、楽しい時を過ごしたという。
(浮竹は風邪ひいてるからホドホドに)
そんな中、浮竹は密かに先程来てくれたあのワンコに感謝の念を贈るのだった・・・。
ありがとう、狛村・・・。
お前のコマムライス、とても旨かったよ・・・。
そして、お前のお陰で、俺は大事なものを信じ続けられる気がする。
今度みんなで集まる時は、是非お前も加わってくれよ?
でもな。ひとつだけ、俺、言いそびれたことがあるんだ・・・。
あのな・・・
エ プ ロ ン の リ ボ ン 、 た て む す び だ っ た ぞ 、 狛 村 ・・・ ・・・
Fin.
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