『 テツえもん 参上! 』
− our immortal hero −
某日、春うららかな午後、瀞霊廷の屋外にて。
「駄目だってば、困るよ〜・・・」
「いいじゃねえか少しぐらい。そんだけいっぱいあるんだし」
穏やかな天気の下、六番隊副隊長・阿散井恋次と五番隊副隊長・雛森桃が何やら言い争いをしていた・・・。
「だーめ! このたいやきはウチの隊員の大事なおやつなの! 人数分しか買ってないんだから!!」
「一つぐらいくれよ〜! 俺は腹減ってんだよ! 朽木隊長のせいで!」(←何かヘマして昼飯抜き)
「そんな事言ったって駄目! も〜、誰か助けて〜」
たいやきの紙袋を抱えた雛森が、何気なくそう言ったその時。
♪ OH 〜 ☆ とっ ・・・ て 〜 も YEAH 〜 ☆ ラ ・ ヴュ 〜 ♪
どこからともなく、謎のBGMが流れ・・・。
「な・・・何? この歌・・・」
「誰だ!? 隠れてないで出て来い!!」
ガ サ ガ サ ァ ッ
「
テ ツ え も ん 、 参 上 !
」
「「・・・っはあああああ!?
い、射場さん!?
」」
藪をかきわけ、七番隊副隊長・射場鉄左衛門が現われた。
いつもの漢らしい口髭、トレードマークのグラサンに加え・・・
水色の手拭いでほっかむり
赤いつけ鼻(←ピエロみたいやつ)
両頬に三本ヒゲ(←マッ○ー(※油性)で書いたと推測される)
・・・の、いでたちで。
「何やってんスかぁ! いきなり出てこないでくださいよ!」(ビックリ)
「・・・そ、そしてその格好は一体どうしたんですか射場さん!」(引き気味)
「・・・チッチッチ(人差し指振りつつ)。射場ではない。
ワシ、テツえもん
」
「いやだから、射場『てつざえもん』さんッスよね?」
「間違いなく射場さん、ですよね・・・? どうしちゃったんですか?」
「
ワ シ 、 テ ツ え も ん ・・・ !
」(ズイッ)
「きゃあああ!? 分かった、分かりましたからアップで迫らないで下さい!
こ、怖いよぉー!
」
「わ、分かりました。射場さんじゃなくて『テツえもん』なんスね?(汗) 何でここに?」
「肝心の用件を忘れるとこだったわい。若者よ、言い争いはいけない! テツえもんは全てを見ていた!」
「・・・(ボソボソ)つまりこのカッコのまま茂みでずっと待機してたってことか・・・」
「・・・(コソコソ)多分ソレ、ツッコまない方がいいよ阿散井くん・・・」
「
人 の 話 は ち ゃ ん と 聞 く も の じ ゃ い
」(ズズイッ)
「「ご、ごめんなさいー!
謝るからアップは勘弁してー!
」」(泣)
「・・・全くもう、近頃の若い衆は・・・! とにかく、争いごとはよくない! このテツえもんが特製グッズで万事解決して見せよう!」(ガサガサ)
「・・・分かった! サラシから何かお役立ちグッズを取り出すんスね!?」
「なるほど、サラシが実は五次元ポケットって訳ね!?」
「いや、サラシはキツいんでこっちに」(ゴソゴソ)
「「
袴 に 手 ぇ 突 っ 込 ま な い で 下 さ い ぃ ー !!
」」(泣)
「あったあった。ホレ雛森、受け取れ(ポンッ)」
「嫌ああああああぁぁぁぁ! 何かイヤな具合にこのたいやき
生 温 か い ー ! !
」(号泣)
「耐えろ、耐えるんだ雛森ー!!」(←でも代わりに持ってやろうという気はさらさらない)
「うむうむ。人肌で食べやすいはずじゃけぇの。これを自隊のおやつ代わりに、恋次にくれてやるがいい! ではな若者達よ、さらばだ!!」(シュタッ)
♪ て ぇ 〜 つ え ぇ 〜 も ぉ 〜 ん 〜 ♪
(うた:まつもと らんぎく)
こうしてテツえもんは去っていった・・・。
呆けた二人と、
微妙に生温かい
たいやき一つ残して・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・食べる?」
「・・・・・・食べねぇ(
きっぱり
)」
「・・・・・・・・・だよね、やっぱり。どうしよう、うちの隊員が万一お腹壊したらやだし、捨てたら何だか呪われそうだし・・・」(←なにげに酷い)
「・・・じゃ、どうするよ、ソレ・・・(泣)」
「・・・どうするって言われても・・・(泣)」
我にかえった二人が、そのたいやきをどう処理(処分?)しようかと考えたその時。
向こうからにこやかに、二人の同期にして三番隊副隊長・吉良イヅルがやって来た。
「やあ、雛森くん、阿散井くん」
「 「
ち ょ う ど い い と こ ろ に !
(救世主を見る目で)」 」
「・・・え? あの、何その喜びよう。何かあった?」
「何でもないよ! ねえ吉良くん、あーんして、あーん!」(←必死)
「え、雛森君、どうしたんだい?」
「いいから口開けろって! イイものやるからさ!」(←イイものか?)
「何だい阿散井くんまで・・・あ、あーん・・・?」
「
はいっ!
(ぐいっと一気に)」
「
むぐっ・・・!?
ん・・・って・・・、たいやき?」
「沢山あるから、おすそ分け! ・・・どう、美味しい?(ドキドキ)」
「うん、まだあったかくて美味しいよ!」
「そ、それは良かったわ!(汗)」
「よ、良かったなあ吉良!(汗)」
「ありがとう雛森くん(ポッ)!」(←雛森にもの貰えるだけで有頂天)(不憫な子・・・)
「ど、どういたしまして!(ホッ)」
「ホ、ホント良かったな!(ホッ)」
こうして、テツえもんのお陰(?)で、いつもの通り瀞霊廷の平和な日々は過ぎていくのであった・・・。
Fin.
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